わたるの日記

教育(学び、小中学校、特別支援など)について

支援学級実態調査について

2022.5.3 読売新聞朝刊

<要旨>

 支援学級の運営について、どれくらいの割合で抽出されているかアンケート調査を実施(支援学級の多い都道府県いくつかの学校に対して)。その結果、総時間の半分以上を通常学級で過ごしていた児童の割合は小学校で54%であることがわかった。これは障がい特性に応じた十分な専門的な教育が受けられていないということだ。抽出時間を増やし専門的な教育が受けられるように文科省は各地の教育委員会に対して通知を出した。

 

支援学級の実態はどうなっているのか?(ある地域の事例)

・基本的に国語・算数の授業を抽出。その他の教科も抽出が必要な子はその教科も通出。通常学級では必要に応じて支援学級の先生が入りこんで支援している。

・「ともに学びともに育つ」をスローガンに、障がいがあっても通常クラスから排除されることなく、必要な支援を受けながら教室でみんなと一緒に学べるよう方法を考え実践している。

 

文科省の通知の狙いはどこにあるのか?

 教員の足りない問題(必要教員数の増加)の解決のために取り組んでいるのではないだろうか。教員が足りない問題が起こっている一つの原因として、支援学級数が増加していることがある。その支援学級が増えることによって教員が追加で必要となってくる。文科省としてはその支援学級が増えることを防ぐにはどうすればよいか考えるだろう。現場の実感として入級児童が増えているのは入級のハードルが下がっていることはあると思う。通常学級で多く受けられるので、みんなと一緒に学べてさらに手厚くみてもらえると考え、入級した方がいいと考えがちである。これが支援学級に入ればみんなと一緒に受けられないとなればどうだろうか?そうなると通常学級の子とたくさん関わってほしいと願っている保護者は入級に抵抗を感じるだろう。勉強がしんどくてもみんなとの関わりを重視するか、勉強は自信を持って取り組めるがみんなとの関わりは薄くなるのを重視するのか。二者択一になると、前者を選ぶ保護者が増え、入級の子は減っていくだろう。

 その読みのもと、まず支援学級数の多い都道府県に絞ってアンケートを実施する。そのアンケートの結果、これって問題ですよねと指摘する。教育委員会に通知を出して、各学校に抽出時間を増やすながれにもっていく。そうすると、保護者が入級を躊躇するようになり、支援学級数の増加にも歯止めがかかってくる。このような狙いがあるのではないだろうか。

 

「週の半分以上を目安に抽出して授業を行うよう求めること」に反対

 上記のことには反対です。それは国が進めてようとしている「インクルーシブ教育」に逆行するからです。国はこれまで「インクルーシブ教育」を掲げ、障がいがある子もない子も同じ空間で学び、それぞれが認め合える場を作ろうとしてきました。それもあり必要な支援は行いつつ、通常教室で学び合えるよう工夫し実践してきたのです。調査では障がいが応じた学習が不十分なケースもあったと指摘しています。それは1000学級近い調査をしたならばそんなケースも出てくるでしょう。であれば、そこはそこで改めればいいのです。なにも週の半分以上を目安などという枠をはめる必要はありません。現場の先生も何も考えていないわけではありません。その子どもにとってどちらで学ぶ方がその子のためになるかを考えながら、抽出か通常学級かを決めているのです。それが大多数の学校であると思います。