わたるの日記

教育(学び、小中学校、特別支援など)について

本の紹介「チキン!」

 この本はいとうみくんさんの書いた「チキン!」という題名のお話です。もめごとが嫌いでいつも当たり障りなく生きている僕。ある日そんな僕と正反対の性格の転校生がやってきて日常が大きく揺れ動きます。思ったことは何でも正直に。もめごとがどんどん起こって振り回される僕。同時にそんな転校生の思いを知るにつれてその子を見る目が変わっていきます。そんな転校生を中心に僕やクラスの友だちとの人間関係をこまやかに描いた物語です。

 

 この本の作者は教師、もしくは元教師ではないかと思いました。どうしてかというと、小学校の様子が現実に即して描かれているからです。例えば、「島」という言葉。これは班を作るためにその人たちが机をくっつけている様子を表した言葉です。その様子が島に似ていることから呼んでいます。小学校以外の他の場面ではあまり使われない言葉。だからこの言葉を使うということは、作者が先生という立場で過ごしたことがあるからではないかと思いました。また次のような表現もありました。「四時間目が移動教室のある授業のときは、教室は無法状態になって給食準備にも時間がかかる」この表現は教師の目線からの言葉だと感じました。それは私も子どもを見る立場の時に同じようなことを思ったからです。

 

 説明が上手だなと感じました。それは将棋の説明をしていたところです。将棋がどういうものか、その概要がとてもわかりやすかったです。その作者の説明の仕方を真似してみます。「自陣は自分の手前の3段目までを言います。1段目の真ん中に王(玉)を置きます。その両脇に金、銀、桂、香と左右ともに並べていきます。2段目には、角と飛を桂の前にそれぞれ置きます。そして3段目には歩を並べます。それぞれの駒は動き方が決まっています。その決まり事の中で、王を守りながら、相手の王をとることができた方が勝ちというゲームです」作者はどう説明していたでしょうか。「自陣っていうのは手前から3段目までをいう。一列面の真ん中に置くのは王将、その両脇に金将銀将、桂馬、香車の順に左右に並べ、次の段に角行と飛車をそれぞれ桂馬の前に配置する。で、三列目にずらっと歩兵を置く。将棋の駒はそれぞれ動き方が決まっていて、その決まり事の中で、自分の王将を守りながら先に、相手の王将をとった方が勝ちっていうゲームだ。」とてもきれいです。

 

 あなたのクラスにも毎回もめごとを起こしている人がいるかもしれません。その人のことをとても嫌な人だと感じているかもしれません。この本を読むと、そのような子に対する見方が少し変わるかもしれません。ぜひ読んでみてください。